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令和5年度税制改正【インボイス制度編】
(2023/03/31)
令和5年3月28日に令和5年度の税制改正法案が国会にて成立しました。令和5年10月1日から開始されるインボイス制度に関しては主に次の内容となります。
A. 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(いわゆる「2割特例」)
免税事業者がインボイス発行事業者として課税事業者となった課税期間については、消費税の計算を売上に係る税額からその税額の80%相当の金額を控除することができます。(つまり納税は売上税額の20%でよい。)
ポイントは、大きく次の3点となります。
- 基準期間の課税売上高が1000万円以下などでインボイス発行事業者でなければ免税事業者であった課税期間に限定される。
- 令和5年10月1日から令和8年9月30日の属する課税期間に限定される。
- 簡易課税選択届出を提出している場合にも選択することができる。
経費等のインボイス確認作業が不要となり、かつ税負担を軽減することができる経過措置です。売上が伸びて1000万円付近となっている事業者様は事前に適用可否を確認しておきましょう。
なお、仕入側(経費等の支払側)については、インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れについて一定の金額が控除できる経過措置が既に設けられています。
- 令和5年10月1日から令和8年9月30日まで --->仕入税額相当額の 80%
- 令和8年10月1日から令和11年9月30日まで --->仕入税額相当額の 50%
B . 一定規模以下の事業者の事務負担軽減措置(いわゆる「少額特例」)
一定規模以下の事業者について、支払対価が1万円未満である取引である場合には帳簿の保存のみで(インボイス保存なしで)仕入税額控除が可能となります。つまり少額取引の支払いには インボイス確認作業が不要となります。
ポイントは、大きく次の3点となります。
- 基準期間の課税売上高が1億円以下または特定期間における課税売上高が5000万円以下である事業者に限定される。
- 令和5年10月1日から令和11年9月30日の期間における取引に限定される。
- 1万円未満の金額は1取引単位の税込価額で判定する。
簡易課税の届出を出して適用をうけている事業者は、経費に関するインボイス確認作業が不要であるため、主に課税売上が5000万円超から1億円以下の原則課税である事業者が対象となることが想定されます。
なお、次の一定の取引についてはこの軽減措置にかかわらず帳簿のみの保存でインボイス保存義務が免除されています。
- 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
- 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
- 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)
- その他一定のもの
C. 少額な返還インボイスの交付義務免除
通常、インボイスを発行した売上高について売上戻りや売上値引き(以下、売上値引き等)が生じた場合は、「返還インボイス」を交付しなければなりませんが、少額な値引き等についてはその交付義務が免除となりました。
ポイントは、大きく次の2点となります。
- 免除される対象が1万円未満の売上値引き等に限定される。
- すべての課税事業者および課税期間において適用される。
支払側が振込手数料などを相殺して支払った場合の事務的負担を考慮した取扱いとなっています。
令和5年10月のインボイス制度開始前から消費税の取り扱いが複雑化していますが、今後も納税者の対応を見ながら改正をしていくことが想定されます。
当事務所は、お客様が事業に集中できるようにサポートに努めていきたいと考えます。